頭痛
原因の分からない頭痛ほど、私達をイライラさせるものはありません。今や頭痛もちは成人の4人に1人といわれ、もはや国民病ともいえます。代表的なものに“片頭痛”と“緊張型頭痛”があります。
片頭痛
頭の片側、こめかみの辺りがズキズキと痛みます。原因は、血管が広がる時に痛みを感じる物質(P物質)が三叉神経に作用して、頭痛を引き起こすといわれています。
また、片頭痛は女性に多いといわれているので、ホルモンがかなり影響していると思われます。現に生理の前後はエストロゲンの分泌が急激に変化するために、片頭痛がおこりやすく、反対に妊娠中はホルモンが安定するので、頭痛から開放される方が多いようです。
あまりにもひどい片頭痛の場合、市販薬を飲まなければならないほどですが、逆に服用しすぎて悪化させてしまうのが“こじれ片頭痛”です。早めに鎮痛薬を飲んだ方がいいが、あまり飲みすぎてもダメというジレンマに陥る方もいらっしゃいます。基本的に片頭痛は、血管が広がって痛むので、冷やすと緩和されます。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、後頭部から肩にかけての筋肉が、緊張し凝り、血液循環が悪くなるために起こります。原因は、長時間のパソコン作業による同じ姿勢や目の疲れ、ストレス、精神的緊張、姿勢の悪さなどが挙げられます。特に最近では“テクノストレス”という言葉もあるほどで、パソコン作業は頭痛のかなりのウエイトを占めるといってもよいでしょう。
緊張型頭痛は、血管が収縮して痛みが起こるので、首の後ろや肩をよく温めると楽になります。また、ストレッチなどをして、筋肉をほぐし、血行を良くすることも効果的です。
東洋医学的にどう見る?
1.肝鬱(かんうつ)型頭痛
主に、精神的にイライラしやすい、落ち着きがなく気ぜわしい、怒りっぽいなどといったタイプの人がなりやすい。
東洋医学では“肝”は精神と深い関係があります。例えば、人間関係などで不和が生じると、不満や怒りが鬱積し、肝の疏泄作用が障害を受け、ストレスがたまり、頭痛がおこります。現代のような緊張社会では、最も多くみられるタイプです。症状としては、赤ら顔・目の充血・不眠・ため息・胸のつかえ感などが特徴です。脈は張りがあり、力がある。
2.痰湿(たんしつ)型頭痛
色白で水ぶくれの肥満型に多く、頭が重い、あるいはだるいといったタイプ。原因は、暴飲暴食などで胃腸の機能低下により、体内の水分が余分になりすぎたことによります。雨の降る前や梅雨時期などの湿気が多い時も悪化しやすい。
“水”や“湿”は余分にありすぎると、体内で沈滞し、気血の流れを妨げます。“痰”はさらに湿が固まり、動きが悪くなったものです。症状は、全身のだるさやむくみ、軟便、尿量減少など。脈は沈んで触れにくい。
3.瘀血(おけつ)型頭痛
女性に多く、生理前や生理中におこる頭痛はこの典型です。“瘀血”とは、血がスムーズに流れず、滞っている状態のことです。皮膚が黒ずんでガサガサしたり、しみやそばかすが多い、静脈瘤がある人は、瘀血の可能性が高い。
また、スポーツ外傷、交通事故によるむちうちなどによる局所の打撲や怪我も瘀血の原因になりやすい。特徴は、口唇青紫、顔色暗黒など。脈は、全体的に細くて渋い。
4.気血両虚型頭痛
元来、胃腸が弱く、気血(栄養)を頭部に巡らせることができないために頭痛がおこる。元気がなく、疲れやすい、いわゆるパワー不足といったタイプである。人間は食べた物を胃腸で栄養を吸収し、それを全身に送る働きをしているが、それが弱いためにおこるのである。代表的な症状は、ふらつき・めまい・動悸・顔色が青い・下痢気味など。
また、上記以外でも鼻の病気や入れ歯の不調、顎関節症なども頭痛の要因になるといわれています。
どんなツボが効果的?
- 天柱(てんちゅう)・・・後頭部、盆の窪から指2本分、外側にいった所。眼精疲労や不眠にも効果的。
- 風池(ふうち)・・・天柱からやや上で指1本分外にいった所。頭部の血行を良くし、頭痛を緩和させる。
- 頷厭(がんえん)・・・側頭部。特に片頭痛によく効く。
- 太陽(たいよう)・・・まつ毛の外側と目尻の中間から外方1寸。目の疲れや記憶力増進にも役立つ。
上記の他に、頭のてっぺんにある百会(ひゃくえ)なども頭痛に効果があります。
同時に、肩や背中の筋肉の緊張や凝りをとることも重要です。また、足の親指の裏の付け根なども押すと、頭痛が緩和されます。